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圧力保持式地下水採水器
圧力保持式地下水採水器
この度、株式会社東亜利根ボーリング様よりご依頼を受け、「圧力保持式地下水採水器」の設計・製作を致しました。
セロリ工事部でも、観測井戸のモニタリングで水質分析試料の採水などに採水器は使用していますが(セロリ製採水器はこちら)、今回ご依頼を受けた採水器は、「圧力保持式地下水採水器」。どのような場合に使用するものなのか、(株)東亜利根ボーリング様にも情報をご提供いただき、私なりに調べてみました。
日頃より、さまざまな目的で行われているシールド工事や地下工事ですが、施工の際に可燃性の天然ガスが湧出・噴出し、火災や爆発事故につながることがあります。そのため、設計・施工の前には十分なガス対策検討を行うことが重要で、その検討資料とする情報を得るために、地中ガス調査が実施されています。
日本には、千葉を中心とした、東京、茨城、埼玉、神奈川県にまたがる南関東地方一帯に「南関東ガス田」と呼ばれる日本有数のガス田が広がり、可燃性天然ガス(メタン)が地下水に溶け込んだ状態で存在しています。この天然ガスや、通常の海水の2000倍のヨウ素を含む地下水は、貴重な国産天然資源として、さまざまな分野で利用されています。しかしその一方で、温室効果ガスであるメタンガスの増加は、二酸化炭素の増加同様、地球温暖化の原因でもあり、また建設工事や地下構造物建設工事の際には、先に記したように、爆発などの危険を伴う有害なガスとなってしまうのです。
そこで、安全に工事を施工するため地中ガス調査が行われるのですが、その地下水採取では、可能な限り原位置で溶存しているガス量を不変のまま採取することが重要になるため、溶存したガスが採水の過程で減圧により気化した分減ってしまうベーラーなどの採水器は不適切となり、原位置で受けている圧力を保持したままの状態で採取できる「圧力保持式地下水採水器」が使用されるということです。
それではここで、今回製作しました「圧力保持式地下水採水器」の採水方法を簡単にご説明。まず、採水器に接続したエアホースからヘリウムガスを注入、採水器内に圧力を送り込みます。先端のフートバルブからエアの漏れがないのを確認し、エアホース上部のバルブを閉め、孔内へ採水器を降ろします。調査深度に到達したらバルブを開き採水、引上げ時の減圧防止のため調査深度分のヘリウムガスを注入し再びバルブを閉め、引上げます。そして引上げた採水器両端にあるボールバルブを閉め、地下水採取完了です。採取した試料は、原位置状態のまま分析室へ運搬することができます。
納品から数週間後、(株)東亜利根ボーリング様より、「圧力保持式地下水採水器」使用時の貴重な写真をご提供いただきました。これからも、たくさんの現場で活躍してくれることを願っております。
この度は、株式会社セロリへご依頼いただき、誠にありがとうございました。
セロリでは、お客様のご要望に合わせて、オーダーメイドでの製品開発も承ります。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください。