第3条ただし書-調査猶予制度
土壌汚染対策法第3条では、特定有害物質を使用する特定施設を廃止するとき、土地所有者は土壌汚染調査を実施して報告することを定めています。
ただし、一定の要件を満たせば、調査が猶予されます。これが、「第3条ただし書き」という制度です。
以下に条文を引用します。
ただし、環境省令で定めるところにより、当該土地について予定されている利用の方法からみて土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがない旨の都道府県知事の確認を受けたときは、この限りでない。
1.調査猶予の要件
- 引き続き工場・事業場の敷地として利用する場合。
廃止された特定施設を設置していた工場・事業場と、同じ工場・事業場の敷地として利用する場合。
関係者以外の者が敷地に立ち入ることができない状況にある、工場・事業場の敷地として利用する場合。 - 使用が廃止された有害物質使用特定施設を設置していた工場・事業場と同じであれば、関係者以外の者が敷地に立ち入ることができても、要件に該当します。
例えば、一般の者も立ち入ることができる大学の敷地で、特定有害物質を使用する特定施設を廃止された後に、引き続き同じ研究施設として利用する場合などが該当します。 - 小規模な工場・事業場で、工場・事業場が住居用の建物が同一もしくは近接している場合で、その建物をそのまま住居として利用する場合。
小規模な工場・事業場とは、工場・事業場の敷地が住居の部分と比較して著しく大きくなく、工場・事業場と住居が同一であると一般に認識される程度のものをいいます。
2.調査猶予の申請手続き
手続き① 事業者と土地の所有者等が同一の場合
原則として、特定施設の廃止日から申請可能です。
- 準備する書類
- 土壌汚染対策法第3条第1項ただし書の確認申請書(様式第三)
- 確認を受けようとする土地の案内図、範囲、廃止された特定施設の設置場所、その他の図面
- 公図、登記簿、固定資産税納税通知の写しなど
- 行政の運用によって、取扱や必要な書類が異なることがありますので、事前の協議をお勧めします。
手続き② 事業者と土地の所有者が異なる場合
- 土地の所有者が、特定施設の廃止を知らない場合もあるので、行政が土地所有者に対し、廃止を知らせ、一定期間異議の申し立てを受け付ける弁明通知を発行します。
- 悪意で借地借家を事業に使用されたような場合を除き、異議を申し立てる事象はありませんので、異議申し立ての期限までに異議がない旨の意思表示をするか、意思表示をせずに期限を迎えるか、いずれかの時点で土地所有者に調査報告義務が生じます。
原則として、調査報告義務が通知された日から、申請可能です
- 準備する書類
- 土壌汚染対策法第3条第1項ただし書の確認申請書(様式第三)。
- 確認を受けようとする土地の案内図、範囲、廃止された特定施設の設置場所、その他の図面。
- 公図、登記簿、固定資産税納税通知の写しなど。
- 行政の運用によって、取扱や必要な書類が異なることがありますので、事前の協議をお勧めします。
手続き③ 土地の所有者が複数いる場合
基本的には、手続き①、②と同様ですが、行政の運用によって、取扱や必要な書類が異なることがありますので、事前の協議をお勧めします。
土壌汚染対策法 第3条第1項ただし書の確認申請書
3.調査猶予確認後の手続き
手続き① 調査猶予を受けた土地の所有者の移転
土地の所有権の移転など、土地所有者が変更されたときは、新たな土地所有者が、調査猶予を受けた土地を承継することになりますので、新たな土地所有者は、その旨を行政に届ける必要があります。
手続き② 土地の利用方法の変更の届出
土地の利用方法を変更するとき、土地所有者は、あらかじめその旨を行政に届ける必要があります。
手続き③ 確認の取り消し
上記の手続き①、②の届出によって、調査猶予の要件を満たさないと認められるときは、調査猶予が取り消され、土地所有者には土壌汚染調査と結果報告の義務が生じ、その旨が通知されます。
行政の運用によって、取扱や必要な書類が異なることがありますので、事前の協議をお勧めします。