2010年 アメリカグアム大学とのミッション
サンゴ礁の成長過程解析と気象環境の研究における、サンゴ礁サンプラの開発
グアム島周辺のサンゴ礁は、環境保護の観点から、最小限の規模でのコアサンプリングが必要です。 研究者からドリリングマシンの開発を依頼され、ボートに小型コンプレッサを乗せ、エアモータでダイヤモンドビットを回転させる、エアドリルを開発いたしました。研究者自らが、ダイバーとなり、ロープでサンゴ礁に反力を取って、サンプリングしました。
海底にリグを設置しない前提でのサンゴのコアサンプリングです。
開発の要件
- ①ダイバーがオペレータを務めることになるため、操作が容易で熟練技術が不要なドリリングマシン
- ②反力をしっかり受けることができない状況で、1m以上のコアサンプリングができるドリリングマシン
- ③環境負荷の少ない、ドリリングマシン
この要件を満たすための株式会社セロリの選択。
- ①低トルク高回転で掘削できるダイヤモンドビットの選択
- ②エアバルブの開閉のみで掘削の操作ができ、潤滑油レスで使用できるエアモータの選択
- ③ビット先端への掘削流体を送らず、不安定な姿勢での掘削によって、掘削断面を拡大させて周面摩擦の低減をはかり、掘削と引き抜きの容易さを得る
- ④サンプリンの現場に行き来するボートに人力で積載可能な小型のコンプッレサを選択、最適なビット回転数を調整する
現場に投入したドリルヘッドとコアビットです。
グアムの海とサンゴは、セロリの技術を快く受け入れてくれました。
採取された多くのサンプルは、板状に加工され、断面の様子からサンゴの成長の過程を読み取ります。 結果として、水温やCO2の状況を推定し気象環境を評価するという研究です。
さて、海洋環境保全のために基本的に潤滑油レスのシステムです。そのうえ海中でエアモータを長期間使用するということは、やはりメカにダメージは蓄積します。
ある日トラブルが発生、EMSでパーツが送られてきました。分解するとフィルタの向こう側が腐食していました。まさに潤滑油レスと海水の仕業です。きれいに錆びを落とし、フィルタを交換して復活、1週間後にはグアムの海に帰っていきました。