ダイオキシンの指定基準
ダイオキシン(dioxin)
一般にダイオキシンと呼ぶとき、広い意味ではダイオキシンとダイオキシンに類似した性質を持つ物質の総称であり、狭い意味ではダイオキシン単一物質を意味します。
このダイオキシンとダイオキシンに類似した性質を持つ物質の総称を、法・条例等では「ダイオキシン類」と呼びます。
ダイオキシン類とは
ダイオキシン類は次の3種類に分類され、それぞれに構造のよく似た同族体と呼ばれる物質があり、また各同族体にいくつもの異性体と呼ばれる物質があって、合計223種類の化学物質とされています。
- ポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD 75種類)
- ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF 135種類)
- コプラナーポリ塩化ビフェニル(Co-PCB 13種類)
狭い意味でのダイオキシンとは
国際的な正式名称はpolychlorodibenzo-p-dioxin (ポリクロロジベンゾパラジオキシン)
わが国ではこれをポリ塩化ジベンゾパラジオキシン(PCDD)と呼びます。ダイオキシンとはdioxinを英語発音したもので、正式名称では長すぎるので、省略してダイオキシンもしくはPCDDと記すこともあります。
ダイオキシン類の発生原因と規制の対象
ベトナム戦争での枯葉剤や、カネミ油症事件など、戦争や工場の事故以外に、塩素を含んだ物質を800℃以下の低温焼却したときにも生成されます。たとえば塩素漂白された紙や、食塩を小型焼却炉で燃やすときも微量のダイオキシン類が生成されるといわれています。わが国で規制の対象となるのは、鉄・亜鉛・アルミニウムなどの製造に用いる焼結炉・電気炉・溶鉱炉・乾燥炉、廃棄物の焼却炉、塩素化合物による漂白施設などです。
ダイオキシン類の毒性と評価方法
ダイオキシン類223物質のなかでもっとも毒性が高い物質は、PCDDの異性体の1つで、2,3,7,8-テトラクロロジベンゾバラジオキシン(2,3,7,8-TCDD)と呼ばれる物質です。この物質は水1Lに1兆分の1gという極めて薄い濃度でも人の健康に影響を与える可能性があるとされています。ダイオキシン類対策特別措置法では、この2,3,7,8-TCDDの毒性に換算した値「毒性等量:TEQ」で基準を定めています。
ダイオキシン類の環境基準
区分 | 環境基準 | 備考 |
大気 | 年平均値 0.6pg-TEQ/m3 以下 | 工業専用地,車道などには適用しない |
水質 | 年平均値 1pg-TEQ/L 以下 | 公共用水域,地下水に適用 |
土壌 | 年平均値 1000pg-TEQ/g 以下 | 廃棄物処理場など外部と遮断された施設の土壌には適用しない |
ダイオキシン類の排水基準
区分 | 新規施設 pg-TEQ/L |
既存施設 pg-TEQ/L |
1.硫酸塩パルプまたは亜硫酸塩パルプの製造に供する塩素または塩素化合物による漂白施設 2.廃PCB等またはPCB処理物の分解施設 3.PCB汚染物またはPCB処理物の洗浄施設 4.そのた |
10 | 10 |
1.アルミニウムまたはその合金の製造に供する焙焼炉,溶解炉または乾燥炉に係る排ガス洗浄施設,湿式集じん施設 2.塩化ビールモノマーの製造の用に供する二塩化エチレン洗浄施設 |
10 (20) |
|
廃棄物焼却炉(焼却能力50kg/時以上)に係る排ガス洗浄施設,湿式集じん施設,灰の貯留施設であって汚水または廃液を排出するもの | 10 (50) |
|
1.上記の施設から排出される下水を処理する下水道終末処理施設 2.上記の施設を設置する工場または事業場から排出される水の処理施設 |
10 |
*( )内は法の施行後3年間適用する暫定的な排水基準