ふっ素及びその化合物(第二種特定有害物質 重金属等)
虫歯予防の歯面塗布剤にふっ素が使用されていることは広く知られていますが、直接口内で使用するふっ素が特定有害物質であることは、あまり知られておりません。フライパンのコート剤、自動車のコート剤など、ふっ素は人の生活に密着した物質です。
ふっ素は平成13年に土壌環境基準が設定され、人の健康リスクのある物質と位置づけられましたが、国際がん研究機関(IARC)では、ふっ素の発がん性を評価していません。
ふっ素は、蛍石に含まれる物質で、自然的要因でふっ素が土壌溶出量を超えるケースは少なくありません。
また、環境省は平成11年の通達で、海水の標準的なふっ素濃度を1.5mg/Lとしており、これは土壌溶出量基準、地下水基準を上回る値です。
主なふっ素化合物(環境省資料より抜粋)
物質名 | 化学式 | 分子量 | 主な用途 |
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ふっ化水素 | HF | 20.01 | ふっ化物、フロン類、ふっ素樹脂の原材料、ガラスのつや消し剤 |
ふっ化ナトリウム | NaF | 41.99 | 歯面塗布剤、歯磨き粉添加剤、木材の防腐剤、抗生物質、殺鼠剤 |
ふっ化アンモニウム | NH4F | 37 | 医療用、金属表面処理、エッチング材料、消毒材料 |
ふっ素樹脂 | ー | ー | ふっ素を含む合成樹脂、フライパンのコート剤など |
フロン類 | ー | ー | ハロゲン類を多く含む化合物の総称、オゾン層破壊原因物質 |
ふっ素及びその化合物の毒性など
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」
(公益財団法人 日本環境協会 平成29年3月発行)
ふっ素を継続的に飲み水によって体内に取り込むと、0.9~1.2mg/Lの濃度で12~46%の人に軽度の斑状歯が発生することが報告されており、最近のいくつかの研究では1.4mg/L以上で、骨へのふっ素沈着の発生率や骨折リスクが増加するとされています。斑状歯発生予防の観点から、水道水質基準及び水質環境基準が設定されています。
厚生労働省では、過剰摂取による健康被害の防止の観点から、栄養補助食品として用いるふっ素の上限摂取量を1日4mg以下としています。
ふっ化水素は、ラットの培養細胞を使った染色体異常試験で陽性を示したと報告されています。ふっ化水素の発がん性について、国際がん研究機関(IARC)は評価していません。
ふっ素及びその化合物の基準値など
ふっ素(fluorine) | |
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原子番号:9/元素記号:F/原子量:19/密度:1.7g/L | |
土壌溶出量基準 (mg/L) | 0.8 |
第二溶出量基準 (mg/L) | 24 |
土壌含有量基準 (mg/kg) | 4000 |
地下水基準(mg/L) | 0.8 |
・ふっ素のサプリメントが海外では製品化されています ・ふっ素の過剰摂取は、骨硬化症、脂質代謝障害、いわゆるふっ素症の原因物質です ・歯科医で使用される歯面塗布剤は、2%リン酸酸性ふっ化ナトリウムという、ふっ化ナトリウムです |