セレン及びその化合物(第二種特定有害物質 重金属等)
セレンは、光を当てると電流を流す、光電効果のある物質として、広く産業界に利用されており、コピー機の感光ドラムや、太陽電池にも使用されるなど、比較的身近な製品にも使用されています。また、硫化セレンは抗真菌効果があり、ふけ取りシャンプーや白癬菌治療にも使用されています。
さらに、人にとって摂取が必須な元素であるため、土壌改良材にも添加されることがあります。
主なセレン化合物(環境省資料より抜粋)
物質名 | 化学式 | 分子量 | 主な用途 |
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亜セレン酸 | H2SeO3 | 128.97 | 試薬、酸化剤、顔料 |
亜セレン酸ナトリウム | Na2SeO3 | 172.94 | ガラスの着色剤・消色剤、顔料、メッキ処理剤、動物用飼料 |
亜セレン酸バリウム | BaSeO3 | 264.29 | ガラスの着色・脱色剤 |
セレン化水素 | H2Se | 80.98 | 半導体製造工程で使用される |
セレン酸ナトリウム | Na2SeO4 | 188.94 | ガラスの着色・脱色剤、陶磁器の着色剤、銅メッキ光沢剤 |
二硫化セレン | SeS2 | 143.09 | 動物用ふけ取りシャンプーに配合されて使用される |
六フッ化セレン | SeF6 | 192.95 | 電気絶縁体、半導体 |
硫化セレン | SeS | 111.03 | ふけ取りシャンプー、抗真菌効果がある |
セレン及びその化合物の毒性など
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」
(公益財団法人 日本環境協会 平成29年3月発行)
セレンは人に必須な元素ですが、過剰なセレンの摂取は、人や家畜の健康に影響を与えます。このため、セレンの食事摂取基準は、例えば30~49歳の場合、推奨量が男性で1日当たり0.03mg、女性で0.025mg、 耐容上限量(健康障害をもたらす危険がないとみなされる習慣的な摂取量の上限)が男性で1日当たり 0.3mg、女性で0.23mgとされています。なお、ラットに体重1kg当たり1日15mgの硫化セレンを103週間、口から与えた実験で、肝細胞がんの増加が報告されています。
国際がん研究機関(IARC)はセレン及びその化合物をグループ3(人に対 する発がん性については分類できない)に分類しています。
セレン及びその化合物の基準値など
セレン(selenium) | |
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原子番号:84/元素記号:Se/分子量:78.96/換算係数:1ppm=3.23mg/m3(気体25℃) | |
土壌溶出量基準 (mg/L) | 0.01 |
第二溶出量基準 (mg/L) | 0.3 |
土壌含有量基準 (mg/kg) | 150 |
地下水基準(mg/L) | 0.01 |
セレンは人にとっての必須元素であり、中国東北部の克山病という心筋障害は、セレンの欠乏障害が原因といわれています。 家畜の筋ジストロフィーや成長阻害にセレンを与えて予防した事例もありますが、セレンの過剰摂取は、人の健康に影響を与えます。 |