指定調査機関について
土壌汚染対策法に基づく土壌汚染調査は、的確に行われなければならず、その結果は、信頼できるものでなければなりません。そのため、環境大臣が指定し、土壌汚染対策法に基づく調査を行う者が指定調査機関です。
平成15年の土壌汚染対策法施行当時は、指定基準が緩やかで、多い時には1,500社以上の指定調査機関が指定を受けていましたが、経験と技術水準のバラつきが大きく、社会的に問題視され厳格化が求められました。
平成22年の土壌汚染対策法改正により指定基準が厳格化され、改正後の猶予期間を経て、平成25年には、指定調査機関は約500社にまで減少しましたが、令和3年7月現在で694機関が環境大臣に指定を受けています。
また、指定調査機関に求められる的確な調査を実施するために、指定調査機関には、技術管理者(技術上の管理をつかさどる者)を置き、調査を指導監督させなければなりません。平成22年の改正法施行により、環境省が実施する技術管理者試験の合格が、技術管理者になるための要件となり、法に基づく調査は、適切な技術と知識をもって管理され実施されています。
土壌汚染対策法における土壌汚染調査には3つ契機があり、指定調査機関による調査が必要です。
- 特定有害物質を使用する特定施設の廃止時の調査
⇒法第3条に基づく調査 - 一定以上の土地の形質を変更する時の調査
⇒法第4条に基づく調査(3,000㎡以上の土地の形質変更時。ただし、現に有害物質使用特定施設が設置されている工場若しくは事業場の敷地にあっては、900㎡以上の土地の形質を変更する時)⇒法第3条7項に基づく調査(法第3条1項ただし書きによる調査猶予を受けている土地において、900㎡以上の土地の形質を変更する時) - 健康被害のおそれがあると都道府県知事が認めた場合に命令される調査
⇒法第5条に基づく調査
改正法と省令によって、指定調査機関の指定基準が厳格に定められました
指定調査機関による調査の実施と、指定調査機関の指定の基準を土壌汚染対策法、および環境省令で次のように定めています。
法第3条: 使用が廃止された有害物質使用特定施設であって、当該有害物質使用特定施設を設置していたもの又は第三項の規定により都道府県知事から通知を受けたものは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、環境大臣又は都道府県知事が指定する者に環境省令で定める方法により調査させて、その結果を都道府県知事に報告しなければならない。
法第4条第2項: 都道府県知事は、前項の規定による土地の形質の変更の届出を受けた場合において、当該土地が特定有害物質によって汚染されているおそれがあるものとして環境省令で定める基準に該当すると認めるときは、環境省令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、前条第一項の環境大臣又は都道府県知事が指定する者(以下「指定調査機関」という。)に同項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。
法第5条: 都道府県知事は、第三条第一項本文及び前条第二項に規定するもののほか、土壌の特定有害物質による汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるものとして政令で定める基準に該当する土地があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該土地の土壌の特定有害物質による汚染の状況について、当該土地の所有者等に対し、指定調査機関に第三条第一項の環境省令で定める方法により調査させて、その結果を報告すべきことを命ずることができる。
土壌汚染対策法(指定の基準)
第31条 環境大臣又は都道府県知事は、第三条第一項の指定の申請が次の各号に適合していると認めるときでなければ、その指定をしてはならない。
- 一. 土壌汚染状況調査等の業務を適確かつ円滑に遂行するに足りる経理的基礎及び技術的能力を有するものとして、環境省令で定める基準に適合するものであること。
- 二. 法人にあっては、その役員又は法人の種類に応じて環境省令で定める構成員の構成が土壌汚染状況調査等の公正な実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
- 三. 前号に定めるもののほか、土壌汚染状況調査等が不公正になるおそれがないものとして、環境省令で定める基準に適合するものであること。
土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令(指定調査機関の指定の基準)
第二条 法第三十一条第一号 の環境省令で定める基準であって経理的基礎に係るものは、次のとおりとする。
- 一. 債務超過となっていないこと。
- 二. 土壌汚染状況調査等の業務を適確かつ円滑に遂行するために必要な人員を確保する能力を有していること。
2 法第三十一条第一号 の環境省令で定める基準であって技術的能力に係るものは、法第三十四条 に規定する監督に必要な人員が適切に配置されていることとする。
3 法第三十一条第二号 の環境省令で定める構成員は、次の各号に掲げる法人の種類に応じ、当該各号に定める者とする。
- 一. 一般社団法人 社員
- 二. 会社法 (平成十七年法律第八十六号)第五百七十五条第一項 の持分会社 社員
- 三. 会社法第二条第一号 の株式会社 株主
- 四. その他の法人 当該法人の種類に応じて前三号に定める者に類するもの
4 法第三十一条第三号 の環境省令で定める基準は、土壌汚染状況調査等の実施に係る組織その他の土壌汚染状況調査等を実施するための体制が次に掲げる事項に適合するよう整備されていることとする。
- 一. 特定の者を不当に差別的に取り扱うものでないこと。
- 二. 土壌汚染状況調査等の実施を依頼する者との取引関係その他の利害関係の影響を受けないこと。
- 三. 前二号に掲げるもののほか、土壌汚染状況調査等の公正な実施に支障を及ぼすおそれのないこと。
環境省HP
- 土壌汚染対策法
- 土壌汚染対策法施行令
- 土壌汚染対策法施行規則
- 環水大土発第100305002号(平成22年3月5日)環境省水・大気環境局土壌環境課長通知
- 環水大土発第1903015号(平成31年3月1日)環境省水・大気環境局長通知
- 土壌汚染対策法に基づく要措置区域・形質変更時要届出区域