特定有害物質の分類
特定有害物質は、その特性によって26物質が、第一種特定有害物質、第二種特定有害物質、第三種特定有害物質の3つに分類されています。
第一種特定有害物質(揮発性有機化合物) 12物質
おもに石油を原料として、人間が作り出した塩素系の有機溶剤が11物質、塩素を含まないベンゼンを加え、12物質が指定されています。
油や汚れを落とす性質、常温では液体で揮発性が高い性質が共通した、揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds、単語の頭文字をつなぎ、VOCと呼ばれる物質)のグループが第一種特定有害物質です。
ドライクリーニング溶剤として使用されるテトラクロロエチレン(通称パークレン、PCE)や、製造業界で脱脂洗浄剤として使用されるトリクロロエチレン(通称トリクレン、TCE)などは、比重が水より大きく、浸透しやすい性質があるため、地下深部まで浸透して土壌汚染を引き起こし、地下水汚染の原因となることがあります。
また、豊洲問題で報道されたベンゼンは、石炭から都市ガスを製造する過程で生成されたといわれています。ベンゼンは、第一種特定有害物質の他の物質と異なり、鉱油類に含まれていることがあり、ガソリンスタンド跡地や重油漏洩事故現場において、ベンゼンによる土壌汚染が認められることがあります。
土壌の汚染に係る環境基準の追加及び地下水の水質汚濁に係る環境基準における項目名の変更並びに土壌汚染対策法の特定有害物質の追加等に伴う土壌汚染対策法の運用について
第二種特定有害物質(重金属等) 9物質
第二種特定有害物質のうち、シアンを除き、そもそも自然界に存在する有用物質であって、鉛は古代ギリシャのヒポクラテスによって毒性が記録されており、ほう素は古くから釉薬に含まれ利用され、秦の始皇帝は水銀中毒が死因ともいわれています。つまり、第二種特定有害物質のほとんどの物質が、産業革命以前から、人間の生産活動に利用されてきた物質です。
一般に比重4以上の金属を重金属と呼称しますが、下表に示すように、シアン、セレン、ふっ素、ほう素は、比重が4以下であり、さらに、シアンとふっ素は、金属ではありませんが、土壌中の存在性状が似ていることから、これらの物質も、第二種特定有害物質(重金属等)に分類されています。
第二種特定有害物質は、9物質すべてが、化合物として指定されており、たとえば鉛は、鉛化合物として、なまりを含むさまざまな化合物が対象となります。
名称 | 記号 | 比重 |
---|---|---|
カドミウム | Cd | 8.65 |
六価クロム | Cr+6 | 7.19 |
シアン | CN | 約1.6 |
水銀 | Hg | 13.54 |
セレン | Se | 3.99 |
鉛 | Pb | 11.34 |
砒素 | As | 5.28 |
ふっ素 | F | 気体 |
ほう素 | B | 2.08 |
第三種特定有害物質(農薬等) 5物質
シマジン、チオベンカルブ、チウラム、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、有機りん化合物の5物質が、第三種特定有害物質と指定されています。ポリ塩化ビフェニル(PCB)を除く4物質は、除草剤や殺虫剤として使用されていたことから、第三種特定有害物質を農薬等として分類しています。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は工業用絶縁油として有名ですが、カネミ油症事件を契機に1972年に生産と使用が禁止され、2001年には「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別処理法(PCB特措法)」が制定されました。
除草剤を散布した効果が長期間持続しないことでもわかるように、農薬は半減期が早く、土壌中でも分解が進むこともあり、環境省に報告されている土壌汚染の事例も極端に少なく、農薬工場や農薬倉庫など、限定された事業所以外での土壌汚染の存在は少ないようです。
下のグラフは環境省のホームページの抜粋です。
グラフに示す数量は、土壌汚染対策法が施行された平成15年から平成30年の間に、法対象の調査によって区域指定を受けた件数を示します。