汚染土壌の掘削除去
汚染土壌を重機で掘削し処理施設に搬出する「掘削除去」は、もっとも実施例の多い土壌汚染の対策方法です。
掘削除去による土壌汚染対策は、短い工期で確実に汚染物質を除去できるため、一般に、工事終了とともに健康リスクが解消し不動産価値が回復します。
また、油圧ショベルが汚染土壌を掘削しダンプカーが場外に搬出する状況、そして健全土によって埋め戻され土壌環境が修復していく状況が目に見えるため、土壌汚染問題を抱える関係者の汚染地への不安感や嫌悪感は、日ごとに解消され、メンタル面の健全化もすすみます。
- 油圧ショベルによる汚染土壌の掘削状況
- 掘削除去後、汚染土壌が除去されたことを管理します
- 健全土によって埋め戻され土壌環境が修復された状況
汚染土壌の処分
場外に搬出された汚染土壌は、環境省の認可を得た汚染土壌処理場に搬入し、適切に処分されます。
株式会社セロリでは、汚染土壌をセメント材料としてリサイクルする処理法「セメント資源化処理」によって、汚染土壌の有効活用を基本としていますが、汚染地と処理施設の位置関係によっては物流コストも増加しますので、経済的に好条件でかつ、実績のある処理施設を選択いたします。
管理票
場外に搬出された汚染土壌は、搬出車両1台ごとに「管理票」が発行され、工程の進捗が管理されます。
そして汚染土壌の処理が完了すると、管理票の発行者には「管理票(C2票)」が処理施設から返却されます。
管理票の保存は5年間と義務付けられていますが、土壌汚染対策法施行規則の改正により、平成30年4月から管理票は電磁的記録による保存が可能となっています。
土壌汚染対策法施行規則の一部を改正する省令等の概要
(平成29年12月27日公布・平成29 年環境省令第29号~32号)
掘削除去の施工費用について
このように、健康リスクの解消の確実性、汚染土壌の処分の確実性など、土壌汚染対策の方法として、多くの実績があって、もっともポピュラーな「掘削除去」ですが、短所も少なくありません。
最大の短所は、高額な施工コストです。
大型の重機が汚染土壌を掘削し、搬出車両が往復する、そしてまた、健全土を搬入するという土木工事ですので、どうしてもコストがかさみます。人体に例えるならば、外科手術であり、投薬治療に比べ大規模化は否めません。
そのため健康リスクを担保した状況にできるのであれば、大きな経済負担をおってまで汚染土壌を場外に搬出するのは、過大な対処であるという見方もあり、汚染土壌を確実に管理し、土地を有効活用する例も少なくありません。
大型重機の使用が困難な狭隘な土地、道路幅が狭く大型車両が利用できない道路状況の土地、隣地と接する空間が狭い土地などは、施工が制約され、コストアップの要因となるばかりか、施工が困難なケースもあります。
また、汚染の深いときなど、地下水対策や山留工事などの付帯作業がコストを押し上げ、掘削除去による対策費用は、土地の価値を上回るケースもあります。
さらに、事業活動による土壌汚染の対策工事という性質上、悪臭や埋設廃棄物の発生率も高く、近隣への環境保全に対する配慮も大きくなりますし、一般の土木工事に比べ、特殊工事として発生する経済負担も少なくありません。
掘削除去のコスト押上げワースト5
掘削除去の施工例
もっとも実施例が多く、短い工期で確実に汚染物質を除去できる「掘削除去」の施工例をご紹介します。
掘削除去による土壌汚染対策の特徴
項目 | 特徴 | 評価 |
---|---|---|
第一種特定有害物質の対応 | 確実な汚染物質の除去が可能、指定解除が可能 | ☆☆☆☆☆ |
第二種特定有害物質の対応 | 確実な汚染物質の除去が可能、指定解除が可能 | ☆☆☆☆☆ |
第三種特定有害物質の対応 | 確実な汚染物質の除去が可能、指定解除が可能 | ☆☆☆☆☆ |
鉱油類(法規制外)の対応 | 確実な汚染物質の除去が可能 | ☆☆☆☆☆ |
施工期間 | 比較的短時間 | ☆☆☆☆ |
有害物質の除去の確実性 | 確実性が高い | ☆☆☆☆☆ |
不動産価値の回復と信頼性 | 施工期間に嫌悪感を持たれるが確実性が高い | ☆☆☆☆ |
広い土地での作業 | 大型重機、大型車両が使用でき効率的に作業できる | ☆☆☆ |
狭い土地での作業 | 小型重機、小型車両に制約され効率的に作業できない | ☆ |
汚染の深さが浅いとき | 山留等の付帯作業がなく効率的に作業できる | ☆☆☆ |
汚染の深さが深いとき | 山留・地下水対策等の付帯作業により効率的が低下する | ☆ |
敷地境界まで汚染があるとき | 敷地境界まで作業できないことがある | ☆ |
- 【備考】
- 第一種特定有害物質:トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタンなど12項目
- 第二種特定有害物質:鉛、ふっ素、ひ素、ほう素、六価クロム、シアン、水銀など9項目
- 第三種特定有害物質:PCB、シマジン、チオベンカルブ、チウラム、有機リンの5項目
- 鉱油類:土壌汚染対策法で規定された特定有害物質ではありません
- 指定解除:土壌汚染対策法で指定された要措置区域などの指定の解除が可能です
区域内措置優良化ガイドブック(環境省 水・大気環境局 土壌環境課)
土壌汚染対策の考え方 P4 ③土壌汚染の除去
事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン(公益財団法人日本環境協会)
(A)土壌汚染対策法の概要 P106 掘削除去
中小事業者のための土壌汚染対策ガイドライン(改訂版)対策技術編(東京都環境局)
3.対策選定のフロー、対策方法の解説など P44 掘削除去