有機りん化合物(第三種特定有害物質 農薬等)
炭素とりんの化合物の総称で、炭素と結合しない無機りん化合物は、土壌汚染対策法の対象ではありません。
また、有機りん化合物は、難燃剤、可塑剤、殺虫剤、農薬等、さまざまな用途に使用されています。
土壌汚染対策法では、パラチオン、メチルパラチオン、メチルジメトン、EPNの4物質のみが対象となります。
有機りん化合物には、神経系・呼吸器系に対する毒性が高い化合物が多いことから、化学兵器の原料になるものも多く、製造・使用・取引には、各種の法規制があります。 地下鉄サリン事件に使用された毒ガス「サリン」、2008年に中国製冷凍食品から検出された「メタミドホス」と「メチルパラチオン」も有機りん化合物です。
主な有機りん化合物
物質名 | 化学式 | 分子量 | 主な用途 |
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パラチオン | C10H14NO5PS | 291.26 | 殺虫剤、ダニ駆除薬、2005年に日本など18か国で使用禁止 |
メチルパラチオン | C8H10NO5PS | 263.212 | 農薬、殺虫剤、2008年中国製冷凍食品から検出 |
メチルジメトン | C6H15O3PS2 | 230.30 | 毒物劇物法による特定毒物、農薬・殺虫剤として流通している |
EPN | C14H14NO4PS | 323.31 | 有機りん系殺虫剤、WHO飲料水水質ガイドラインなし |
メタミドホス | C2H8NO2P | 141.1 | 農薬、殺虫剤、2008年中国製冷凍食品から検出 |
サリン | C4H10FO2P | 140.09 | 神経ガス、殺傷能力が高く数分で発症、経皮摂取もある |
VXガス | C11H26NO2PS | - | 神経ガス、人類が作った化学物質で最も毒性が高い |
表中赤字は土壌汚染対策法対象外物質
有機りん化合物の毒性
短期ばく露より、神経系への影響、痙攣、呼吸機能不全、意識喪失などのおそれがあります。長期または反復ばく露により、神経系への影響、催奇性などの可能性があります。
有機りん化合物の基準値など
有機りん化合物(organophosphorus compound) | |
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原子番号15/原子量;30.97/元素記号:P | |
土壌溶出量基準 (mg/L) | 検出されないこと |
第二溶出量基準 (mg/L) | 1 |
土壌含有量基準 (mg/kg) | 基準値はありません |
地下水基準(mg/L) | 検出されないこと |
マッチの頭薬にりんが使われているといわれますが、頭薬は塩素酸カリウムであり、擦り付ける側薬に赤りん使用されています。りんの毒性が問題になり、20世紀初頭には頭薬にりんは使われていません。 |