ポリ塩化ビフェニル(PCB)(第三種特定有害物質 農薬等)
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、かつてトランス、コンデンサなどに使用された絶縁油に含まれており、PCBは強い毒性を持つことから、1975年以降、PCBは製造・輸入・使用が禁止された物質です。
PCBは、1881年にドイツで開発され、電気絶縁性が高く、各国で使用されてきましたが、1968年のカネミ油症事件を契機に、1975年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律が整備され、PCBは製造・輸入・使用が禁止されました。
カネミ油症事件
北九州市のカネミ倉庫で作られた食用油に、配管作業ミスが原因でPCBが混入し、1968年、福岡県、長崎県などで食用油を摂取した人が、肌の異常、肝機能障害、しびれ、頭痛などを発症した事件。母乳を経路としてPCBを摂取した乳児の皮膚が黒く変色し、社会に衝撃を与えた。 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(PCB特措法)により、PCBを含むトランスなどの廃棄物は、その保管事業者が2027年までに適正処分することが義務付けられています。 http://www.env.go.jp/recycle/poly/pcb-pamph/full8r.pdf
引用・参考文献
「事業者が行う土壌汚染リスクコミュニケーションのためのガイドライン」
(公益財団法人 日本環境協会 平成29年3月発行)
ポリ塩化ビフェニル(PCB)の用途
ポリ塩化ビフェニル(PCB)とは、正式にはポリクロロビフェニル誘導体の総称で、ビフェニル分子の水素原子を1~10個の塩素で置換したものです。置換している塩素の数や位置によって200以上の異性体が存在し、物理的性状も無色液体から樹脂状個体まで多様です。化学的に安定(酸・アルカリに冒されず、不燃性で加熱・冷却しても性質が変わらない)で、電気絶縁性に優れています。
主な用途は絶縁体、熱媒体、可塑剤、感圧紙などで、トランスやコンデンサに多く使われてきました。通常の焼却や微生物処理などによる分解は困難です。ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等については、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」が別に定められています。
わが国では、ADIを体重1kg当たり1日0.0084mgとして、これに基づいて水道水質管理目標値(0.02mg/L以下)が設定されています。また、ゴルフ場の農薬使用が社会問題化したことをきっかけに、1990年に「ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針」が示されましたが、その後、河川や地下水から広範囲で高い濃度のポリ塩化ビフェニル(PCB)が検出されたことから、1993年に水質環境基準(0.006mg/L以下)が定められています。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)の毒性など
短期的なばく露影響としては、眼を刺激することがあります。反復または長期にわたる皮膚との接触により、皮膚炎、塩素座そうを起こすことがあります。また、長期的な摂取により、脂肪に蓄積し、皮膚障害、肝障害、浮腫、視力低下、手足のしびれなどを起こすことがあります。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)の基準値など
ポリ塩化ビフェニル(polychlorinated biphenyl) | |
---|---|
一般式:C12H(10-n)Cln(1≦n≦10)/比重:1.44(30℃)/水溶解度:0.7mg/L | |
土壌溶出量基準 (mg/L) | 検出されないこと |
第二溶出量基準 (mg/L) | 0.003 |
土壌含有量基準 (mg/kg) | 基準値はありません |
地下水基準(mg/L) | 検出されないこと |
日本では1972年に行政指導として、製造輸入使用の禁止、1975年に化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)によって法的な背景が完成しました。 |