滑り面(CEO 遠藤記)
関東大震災のとき、ある国の外交官は、日本人に驚いたという。
人生をかけて築いたマイホームが崩壊し、呆然と悲嘆に暮れる場面であるはずが、日本人は協力し合い、明るい声をかけあい、明日に向けて再建の槌音を響かせていた、と。
東北の震災、先の熊本の震災、大雨の被害や広域の土砂崩れにあっては、日本列島のどこかで、毎年のように発生している。
災害が多発する国土と、勤勉な国民性によって、ソフト的にもハード的にも、災害に向き合う技術が歴史的に発達し、日本の防災にかかる技術水準は、世界のトップクラスにある。
風光明美な地域に、知る人ぞ知る
あった。
上部の灰色の地層は、若い火山灰層で水分を蓄えやすい。
下部の茶色い地層は、礫を含むものの、粘土化が進んでいる。
必然的に、粘土層の上面で水分が遮断され、いわゆる滑り面を形成する。
案の定、小規模ではあるが、上部の火山灰層が滑り落ちている。
防災土木は専門ではないが、現場に学ぶことは多い。
土壌汚染に取り組む業界にあって、地質学を学んでいない技術者が、ときに、突飛なことをいい、閉口することがある。
当社にあっても他人事ではない、スタッフに地質学を勉強する機会を増やさなければならないと思っている。