マイクロメータ(CEO 遠藤記)
部品の寸法を測定する道具、測定器がさまざまあるなかで、機械に携わる若い技術者には、マイクロメータを使って部品を測定する技能を身につけてもらいたいと思っている。
日本人は箸を使って当たり前に食事をする。子供の頃からの数千回の反復練習の結果として、いつの間にか箸を使って当たり前に食事ができるようになる。
測定器で部品の寸法を測定する技能もそれに似ていて、数をこなさなければ、正確に部品を測定するという単純な技能は習得できない。
これがマイクロメータという、直径や長さ寸法を測定する道具。
ここに小さな部品があって、設計上の直径寸法は、21.80mm~22mm。
つまり許容される寸法の幅は0.2mm、これを「マイナス0.2mmまでの許容差」という。
マイクロメータの右端の一段小さくなっている部分を右手で回転させると、可動軸が軸方向に移動する。
この可動軸で測定部分を挟み、ラッチがカチカチと音を立てて空転するところで、目盛りを読む。
横軸の上の目盛りは、21mmを超えたところで止まっている。
下の目盛りは0.5mm尺なので、これで21.5mmと読む。
縦の目盛りが副尺で、横軸に32のラインで交差していて、これを0.32mmと読む。
21.5mm+0.32mm=21.82mmというのが、この部品の直径寸法は21.82mmということ。
21.82mmは、設計寸法21.80mm~22mmの下限値に近いが、検査合格ということである。
マイクロメータが部品の中心に対して、手前や奥で挟んでしまえば、数値は小さく読み取るし、中心部分であっても、正確に水平に挟まないと測定値は大きくなる。
測定する場所を3~4回変えて、同じ数字がでれば、真円性も確認される。
デジタルのマイクロメータを使えば、測定値の読み取りミスがなくなるし、千分の1mmオーダの寸法を読み取れるが、今回はアナログの昔ながらのマイクロメータを解説した。
可動軸のネジピッチが0.5mm、縦軸が360度の円周に0.5mmを割り振っているマイクロメータの測定原理が理解できただろうか。
糟糠の妻ならぬ、糟糠のマイクロメータは、キーボードの脇にあって、株式会社セロリの品質を支えてきた。