ヘッドサブ 接続ねじ部の折損
ドリリングツールスとりわけ、打撃がともなう掘削に使用するロッド類の開発は、ねじ部の折損との闘いです。
なぜネジ部が折損するのか?
掘削中のねじの緩みが最大の原因ですが、これは防ぐことができない、永遠のテーマです。
最近のトラブルの一つ、コーン貫入試験機のヘッドサブ、ねじ部にはSCM435材、
引張強度1080Nの高張力鋼を使用していますが、いとも簡単に折損してしまいました。
ねじが緩んだから折れた、と、いってしまえばそれまでですが、現実の問題として、
掘削の最中にねじの締め付けを管理することはできません。
たとえば、極端に地盤が弱い地層では、ハンマの打撃力が余剰であり、地中のツールスは伸びようとし、
結果としてねじ締結が緩みます。
逆に硬い岩盤や転石に当たると、貫入が止まり、打撃力は、岩盤を破壊することなく、
軸方向に全体を曲げようとしつつ、自らのストレスとなって、もっとも緩んでいるねじ締結部に応力集中します。
また機械のセンタと孔の軸があっていないとき、また機械の水平度が悪かったり、
転石に当たって先端が逃げているとき、ツールスには曲げがかかり、曲げ疲労のリスクは急上昇します。
しかしながら、この問題もしかり、掘削の最中に、軸心を維持して、足元の水平を維持して、
などとできるものではありません。
既存ツールスを使用して、機械をもっと強くしたいという要望は、ねじ部折損と改善の、いたちごっこの始まりです。
折れたねじ部の拡大です。
矢印の先端部が疲労破壊の起点になっていて、そこを中心に円弧状の疲労が進行、
典型的な曲げ疲労破壊をしめす、いわゆるビーチマークが三日月様に進行しています。
S-N曲線という疲労破壊のルールがあり、10の6乗回の応力負荷を超えると、
疲労破壊しないということになっていますが、この現物は、せいぜい10の4乗回の負荷で折損しており、
降伏応力を超える負荷が作用したことになります。
ついては、曲げ応力が集中しないように、ねじ部にインロウ構造を取り入れたり、ガイドをタイトにする、
そんな改善を加えていくことになります。
これを設計の配慮不足といわれると、とても悲しい。
打撃力を強くすると、どこかが折れるので、そのつど改善して、落ち着くまでお付き合いください……。
ダメ??