机上の測定器
モノを作るという行為と、モノを測るという行為は、ほぼすべての場面で、セットではないだろうか。
みそ汁を作って味見をするし、作物を作れば出来を測る。
モノを作って、作りっぱなしということは、ある意味無責任だし、品質を維持できない。
同じ味のラーメンを毎日作るということは、塩しょう油や、しょう油、出汁などの同量維持を意味するし、
その品質管理を怠ると、「あの店は味が落ちた」といわれるようになり衰退する。
モノを測るということ。
モノを作るのと同様に、技能が求められ、測り方が品質を左右する。
同じものを測って、同じ数値を得るようになるまで、測定器を使い込み技能を習得しなければ、
モノ作りの品質は維持できない。
金属を削って機械を作るのであれば、まずはノギス、次にマイクロメータでモノが測れなければダメ。
オフィスの机上には、PCのディスプレイ、キーボード、マウスの定位置があって、書類もあるけれど、
それらが定位置になる前から測定器の定位置もある。
上から、
・岐阜大学との共同研究で補助金もらったときに新調した200mmのノギス。
・15年くらい前に購入した、デジタルノギス。ブランド品ではないけど、激安だった。
・糟糠のマイクロメータ。手になじんでいます。
意味もなく、名刺の厚さを測ってみます。
マイクロメータでは0.26mmです。
10か所くらい、場所を変えて測ってみても、0.26mmでした。
さすが日本の紙、0.01mmの品質で安定しています。
さて、ノーブランドのデジタルノギス。
そもそもノギスという測定器は、0.01mmオーダ求めてはならず、まあ、参考値という認識ですが、
ミツトヨなどのブランド品は違うかもしれません。それでもノギスという測定器は、指かけを指で押さなければならず、
力の入れ方で、紙が縮むので、0.01mmオーダを正確に測るには、かなりの技能が必要です。
10回くらい測定しましたが、0.26mm~0.28mmでばらつきました。
シンワという国産ブランドのノギスです。
副尺に0.05mmの目盛があって、0.25mmとバッチリ読めます。
測定器でモノを測るという地味な作業。
旋盤で丸棒を削り、キリコがバリバリ出て形を成したり、火花を散らして溶接して構造物ができていく、
というようなモノづくりの達成感は、正直あまりない。
けれども、何時間もかけてモノを作っても、測ってみて寸法アウトしていれば、それまでのコストは無駄になります。
ところどころで測定しながら、間違いのないものを作る、高品質を保つ、測定器とはそういうものです。