汚染土壌の運送費
掘削除去した汚染土壌の処分は、厳しい審査をへて環境省が認可する汚染土壌処理業者に運搬して、適切に処分しなければならない。
環境省HP:土壌汚染対策法の改正等を踏まえた汚染土壌処理業の許可及び汚染土壌の処理に関する基準
その汚染土壌の処分費、事例の多い項目の順に、鉛含有量基準不適合、ふっ素溶出量基準不適合、砒素溶出量基準不適合となるが、セメント資源化処理が可能な濃度であれば、1トン当たりの処分費は、原価的には10,000円前後であり、これに企業の管理費用と管理票コストが上乗せされる。
汚染土壌の運搬費はどうなるか。
物流の原則により、処分場に近ければ安く汚染土壌を運搬できるし、処分場からの距離が遠くなればなるほど運搬コストはかさむ。
2018年の株式会社セロリの実績として、10トンダンプの1日のチャージは、55,000円である。
2010年の同実績は45,000円であり、実に22%の値上がりである。
10トンダンプが、現場と処分場を1日に3往復できるとして、1車が運ぶ汚染土壌の量は30トンということになるため、2010年の汚染土壌の運搬費は、45,000円/30トン=1,500円/トンとなる、同様に2018年では1,830円/トンである。
10トンダンプが、現場と処分場を1日に1往復しかできないときは、1車が運ぶ汚染土壌の量は10トンということになるため、2010年の汚染土壌の運搬費は、45,000円/10トン=4,500円/トンとなる、同様に2018年では5,500円/トンとなり、現場と処分場の距離はコストを左右する要素であることがわかる。
引用:国土地理院HP 地理院地図
株式会社セロリでは、城南島、川崎臨海部の処理事業所に汚染土壌を搬入することが多い。すなわち上図に示す赤丸内と現場の距離によって、汚染土壌の運搬費が決まるわけで、汚染土壌の運搬処分費は、現場ごとに変わることになる。
10トンダンプの1日のチャージ料金の概実績
年度 | 10トンダンプの一日の料金 |
2010年 | 45,000円 |
2011年 | 45,000円 |
2012年 | 45,000円 |
2013年 | 46,000円 |
2014年 | 46,000円 |
2015年 | 48,000円 |
2016年 | 51,000円 |
2017年 | 54,000円 |
2018年 | 55,000円 |
鉛含有量基準不適合土壌100㎥をセメント資源化処理する費用を例として考えてみる。
汚染土壌の比重は、平均的に1.8であるため、100㎥の汚染土壌は180トンである。汚染土壌の処分費が10,000円/トンとすると、処分費用合計は1,800,000円
この汚染土壌を10トンダンプで運ぶ場合、18台分の汚染土壌である。
処分場まで3往復できる現場であれば、6台のダンプで運搬するため、6台×55,000円=330,000円
処分場まで2往復できる現場であれば、9台のダンプで運搬するため、9台×55,000円=495,000円
処分場まで1往復しかできない現場であれば、18台のダンプで運搬するため、18台×55,000円=990,000円
処分場まで3往復できる現場の運搬処分費 1,8000,000円+330,000円=2,130,000円
処分場まで2往復できる現場の運搬処分費 1,8000,000円+495,000円=2,295,000円
処分場まで1往復しかできない現場の運搬処分費 1,8000,000円+990,000円=2,790,000円
現場と汚染土壌処分場間の距離によって、運搬処分費はこのように変動することになる。