25.4mmの世界にようこそ その2 パソコン社会
昭和三十年代、洗濯機、掃除機、冷蔵庫を「三種の神器」と称した。
時代によって、三品目の組み合わせは更新されるのだが、ある時期は、カーナビゲーション、携帯電話、パソコンを「三種の神器」とした。
とりわけ、パソコンではなかろうか、すべての産業に革命が起こった。
昭和50年代後半、大学で学んだ「フォートラン」という言語があって、これは、ハガキ大の紙のカードにドットを黒塗りしてプログラムを組んだ、せいぜい数10バイトである。
そのころだ、NECがPC9801というシリーズのパソコンをリリースして、一般人でもパソコンを購入できる時代が到来した、それでも当時のコストで40万円くらいした。
PC9801の普及とともに、磁気記憶媒体である5インチ(5.25インチ)のフロッピーディスクが大活躍した。
フロッピーディスクの歴史を紐解きたい。
1970年、IBMが8インチフロッピーディスクを商品化した、その容量は80KB。
1976年、シュガートアソシエエイツが前述の5インチフロッピーディスクを開発、当初109.4KB、後に現在のNTTが2HDと呼ばれる方式を実用化し、容量は一気に1.25MBになった。
そして1980年、ソニーが3.5インチフロッピーディスクを開発し、現在にいたる。
しかしながら、2005年くらいからか、フロッピーディスクというものを使っていないように思う。
なにより、PCからFDドライブが消えて久しく、歴史的役割を終えたといえるかもしれない。
25.4mmの世界にようこそ、その2回目として、仕事に生活に切り離すことができなくなった、パソコンと25.4mmについて、書きたい。
パソコンを野球のチームとしたとき、9人の選手が必要だとして、記憶媒体は間違いなくレギュラーの一人であり、フロッピーディスクにいたっては、永久欠番をもらっていいくらいの実績をあげたのではなかろうか。
そのフロッピーディスク、前述のように、アメリカ生まれである。
ものごとは、最初が肝心、母国がインチルールなら、そのままDNAが受け継がれる。
写真に示す黒い磁気ディスクが記憶媒体であり、この直径が呼びサイズである。
3.5インチフロッピーディスクというからには、25.4mm×3.5=88.9mmでありたいが、数ミリマイナスしていて、けっこう適当ではないか、と思いもする。
便利な世の中になったと思う。
わずか700グラムのPCを持ち歩けば、喫茶店はオフィスに早変わりである。
13.5インチクラスのモバイルPCと呼ばれる、このクラスのパソコン。
まるで張りぼてのように軽く、それでいて4GBのメモリに加え、脳みそは2個入っている、すさまじい現代社会である。
その13.5インチ、25.4mm×13.5=342.9mmであるが、なにを意味しているのかというと、ディスプレイの対角のスケールということになっている。
この富士通の製品、これがまた、アバウトで、13.5インチから5mmもマイナスしていた。
初めて携帯電話を購入したのが22年前、1996年のこと。
それから、あれよあれよと進化して、今どきはスマートフォン。
電話機能など、使用頻度の3%以下ではなかろうか、残る97%は、web検索、メール、メモ、カメラ、などなど、マルチな機能を便利に使わせていただいている。
5.5インチサイズと呼ばれるiPhone 7plus。
ディスプレイの対角のスケールは、25.4×5.5=139.7mm
おみごと、139.7!!
なんともたわいのない話題である。
気にもとめないでいたが、25.4mmのルールに支配された現代社会を担うパソコンの世界があった。
文明あるいは技術というものは、進化する本能をもち、決して退化しない。
100年後にどのようなコンピュータが開発されているか想像もできないが、そのとき、25.4mmのルールどうなっているのだろう。