「ばね」という機械要素について vol.4 スプリング・ラビリンス ばねの歴史に挑む
「ばね」という太古の昔から人類が付き合っている機械要素について勉強を始めた。
まずは、世界に誇る日本工業規格JIS B0103:2012 ばね用語(Springs-Vocabulary)のおさらい。
JIS B0103:2012 ばね用語(Springs-Vocabulary)では、「ばね」をこのように定義している。
たわみを与えたときにエネルギーを蓄積し、それを解除したとき、
内部に蓄積されたエネルギーを戻すように設計された機械要素。
すなわち、弾性を利用したパーツは基本的に「ばね」属といえ、「〇〇ばね」などと分類されることになる。
「ばね」についての勉強開始については、これまでの経緯をご参照いただくとして、
「ばね」の分類と用語についての知識不足は、もはや弁解できない領域にあるといえる。
こんなものまで「ばね」なのか、と、おどろいてばかりいても仕方がないので、
「ばね」歴史を振り返りかえることにした。
さっそくwebサイトで、「ばね 最古」などのキーワードで検索すると、
どうやら「弓」が人類の最初に手にした「ばね」ということになっていた。
「弓」という道具、おそらく人類は、原始時代に狩猟用具として開発ものとみて間違いあるまい。
その後、武器として「弓」を利用するようになったのは、狩猟用具としての「弓」の開発時期からは、
相当の時間を経ているはずであろう。
それにしても、「弓」という道具は、かなり次元が高い道具であるからして、「弓」に比べたら、
もっと原始的な「ばね」があるのではなかろうか、いやきっとあるに違いない。
勉強不足は露呈したが、機械設計に携わり30余年、「ばね」の歴史に挑みたくて、いろいろ考えてみた。
そして思いついたのは、棒状の鞭である。
棒をしならせて、鞭機能を持たせ、遠心力と弾性を利用した狩猟用具である。
きっと、これが最古の「ばね」ではなかろうか。
なんといっても、弾性を利用して変形し、力が抜けると元に戻れば「ばね」だというのだから、
こんな原始的な狩猟用具でも「ばね」ということになる。
そして、この「ばね」は現役であって、身近なところでは、ハエたたきが子孫である。
おそらく人類最古の「ばね」は、この手の道具であるはずだ。
なぜならば、「弓」に比べたら、比較にならないほど原始的だから。
なんといっても、棒をそのまま使うので加工がほとんどない、漁猟であれば、葉っぱがついていてもよいだろう。
そして、時を経て「弓」と時期を同じくして、「投石機」が開発されたと考察する。
「罠」に、ばね機能を利用して狩猟用具としたのは、「弓」よりも後のようなイメージがある。
動物の生態を観察して、その通り道に設備をしなければならないから、
見つけたらダメージを与えるという狩猟用具よりも高等ではないかと思う。
まあ、なんにせよ、木や竹をしならせて「ばね」とする、「円弧ばね」が最古の「ばね」であるという点は同意である。
さて、「ばね」の歴史にまで、はまり込んでしまった……スプリング・ラビリンス、出口が見えない。
vol.5に続く