技術屋社長の独白
伊豆沼と内沼
「地球温暖化」、いつの頃からか、耳にするようになった言葉。英語ではGlobal warmingと表記する。
地球の歴史において、温暖化と寒冷化は何度も繰り返されていることから、「20世紀後半からの温暖化」ともいわれている。
その20世紀後半になって、極端に太陽がパワーアップして、地球への熱供給量が増加したわけではない。
産業革命以来、石炭と石油を燃焼させ、エナジを手に入れた人類だが、その結果として、温室効果ガスを放出し続け、まさに温室効果によって、地球の平均気温が上昇したと考えられている。
ここ数年の日本各地の夏の猛暑は、まさに温暖化をイメージする。
実際に地球の平均気温は上昇していて、科学的な統計を取りだした1900年ころから今日までの平均気温の上昇は0.74℃である。
わずかに0.74℃ではあるが、多くの自然現象に影響を与えているわけであり、わずか1℃に満たないという数値は、夏の猛暑への多くの人の印象は、かなり異なる想定外に低い数値ではないだろうか。
ところで、約6000年前、「完新世の気候最温暖期」と呼ばれる時期があった。
これは、0.74℃どころの上昇ではなく、それに数倍する、現在よりも平均気温が1~2℃高かったとされている。
この気温の上昇は、地球の軌道の変化による日射量の増加が原因と考えられているが、当然にして南極と北極の氷が解けて海水面が上昇し、海が陸を浸食する、いわゆる「縄文海進」と呼ばれる現象が生じた。
宮城県北部に注視すると、石巻の海岸線から約40kmの内陸、もしくはもっと奥まで海は進んだ。
そして東北地方の脊梁をなす、奥羽山脈から運ばれてきた堆積物が海を埋め立て、海岸線は徐々に東に移動していく。
そうこうしているうちに、地球に寒冷期訪れ極氷が増加し海水面が下る、いわゆる縄文海退である。
内陸部で堆積物の量が十分でないところには、湿地や沼が取り残された。
ラムサール条約で有名な、伊豆沼と内沼は、このようにして出来上がった、と、理解している。
引用 国土地理院HP 地理院地図
伊豆沼は、289ヘクタールもある大きい沼だが、もっとも深い場所で水深1.6m、平均の水深0.7mと浅く、まさに、陸になりきれなかった、取り残された海なのだ。
干拓された周辺の田んぼには、埋め尽くす勢いで渡り鳥がいた。